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Health

今知っておくべきVAPE用CBDオイルの健康リスク

フレーバー付きのリキッドを電気で加熱することで水蒸気を発生させ、それを吸入する電子タバコ、VAPE。近年、そのリキッドとして大麻由来の成分であるCBDオイルが人気を博しているが、健康被害も相次いで報告されている。VAPEでCBDオイルを吸入するとどんなリスクがあるのか、専門家に話を聞いた。

by Mark Hay
01 October 2019, 4:32am


Dariusz Makowski / EyeEm/Getty Images

2018年4月、米陸軍は、ノースカロライナ州の2つの基地の医療センターで、数ヶ月のあいだにVAPE用CBD(カンナビジオール)オイルの使用に関連するとされる健康問題が60件報告されたことを受け、その健康被害を公に警告した。患者の症状は、頭痛、吐き気、嘔吐、見当識障害、興奮、発作など多岐にわたった。

その数ヶ月後、ノースカロライナ州の医療関係者も、現地の救急治療室を訪れた30人がVAPEによるCBD製品吸入に関連する幻覚、意識喪失、不整脈を訴えたことを受けて、警告を発表した。両者の発表が示唆しているのは、VAPE用CBDオイルへの関心が高まって入手しやすくなり、健康効果を謳う声(決定的な根拠はまだないが)が広まると同時に、各州で合法化が進み、このような患者が急増する可能性を医療関係者が懸念している事実だ。

VAPEでCBDオイルを楽しむひと、または医療、娯楽目的での使用を考えているひとが思い留まるには、この報告だけで充分だろう。しかし、専門家やこれまでの研究では、CBD自体は、その蒸気を吸いこんだとしても身体への悪影響はほぼない、と見解がほぼ一致している。だが、それはVAPE用の混じり気のないCBDチンキを入手できればの話だ。ここ数年、多くのVAPE用CBDユーザーが直面している問題は、VAPE市場全体の規制が不充分なため、あらゆるVAPEやVAPE用オイルの品質が信用できないことに端を発すると考えられている。

VAPEによるCBD吸入の効能と副作用

CBDは、大麻草に含まれる100以上のカンナビノイド成分のひとつ。その多様な医学的利点に関する研究によれば、CBDは副作用を最小限に抑えつつ、数週間にわたって高用量で使用できるなど、使用可能な用量も幅広いという。それでも、副作用が全くないという訳ではない。別の研究では、CBDは神経過敏、食欲減退や排尿量の減少、胃腸障害、発疹、呼吸障害、最悪の場合には肝疾患や精神疾患の悪化を引き起こす恐れがあることが明らかになっている。

また、体内での処理については、CBDは肝臓で酵素に作用し、抗凝血剤や抗けいれん剤、抗うつ剤などを含む多数の薬剤の効能を変えてしまう恐れがあるという。その結果、副作用が悪化するか、最悪の場合には、意図せずに別の薬を過剰摂取してしまうリスクもある。

現時点では、CBDの副作用が現れる確率も、CBDによる副作用と、併用したその他の薬との相互作用を区別する方法も不明だ。また、服用量によって副作用と薬物相互作用にどんな違いが生じるのかも、これらの作用の個人差や服用者の持病による影響もわかっていない。さらに、未成年者や数十年に及ぶ長期的なユーザーへの作用に、どのような違いが生じるかについても、信ぴょう性のあるデータは存在しない。

これまで不安要素ばかり述べてきたが、これらのリスクはわずかで、もし副作用が生じたとしても、早期段階で用量を変えれば問題ない、というのが一般的な見解だ。米陸軍によるCBD吸入に関する警告も、純粋なCBDオイル自体は比較的安全だと説明している。

VAPEによるCBD吸入の安全性

理論上では、VAPEによるCBDの吸入、つまりCBDチンキを高温に熱して気化させ、その蒸気を吸ったとしても、CBDそのもののリスク特性は変わらない。しかし、バージニア・コモンウェルス大学(Virginia Commonwealth University)の毒物学者でVAPE専門家のミシェル・ピース(Michelle Peace)教授は、他のCBD製品を消費するように「食べるのとは違って、吸い込むさいは注意が必要です」と強調する。「薬を吸入すると、食べるよりもはるかに効率的に体内に取り込まれ、活性化しやすくなるので、注意しなければいけません」

ピース教授によれば、このテーマに関する現実的で決定的な研究はまだないというが、大麻業界には、VAPEでCBDを吸入すると効能が通常の4倍になる、などと主張する企業も少なくない。その結果、CBDによる副作用や薬物相互作用の影響を受けやすいひとが、CBDのマイナス効果を受けるリスクが高まり、救急診療件数が増加しているのだと考えられる。ただ、このようなリスクは、他の薬を服用するときと同様にそれなりに注意すれば、簡単に回避することができる。

しかし、VAPEの特性は、CBDの使用に新たなリスクをもたらす恐れもある。2018年2月に発表された、ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)のVAPEに関連する研究では、VAPE内部のチンキを熱するための金属コイルを加熱することで、ユーザーが吸う蒸気のなかにクロムやニッケルなどの相当量の重金属が混入することがわかった。「このような金属を長期的に吸入し続けると人体にどのような影響が表れるのかは、まだわかっていません」とピース教授は指摘する。

CBDオイルの安全性

VAPEそのものだけでなく、VAPEに使われるオイルについても規制はまだ充分ではない。〈純粋なニコチン〉と謳っている製品に、実は有害物質が混入していたというケースも多い。これらの物質には、バターのような香りをもつジアセチルなど、食べるぶんには安全でも、VAPEで加熱して吸入すると重度の肺疾患を引き起こすものもある。

VAPE用CBDオイルについても状況は同じだ。2017年の研究では、対象となった10個の製品のうち、7つがCNDの用量を正確に記載せず、2つはCBDとは反対の効能を多くもつ別の有名なカンナビノイド成分、THCを含有していることが明らかになっている。これは、VAPE製品のCBDの原料の特徴が誤解されていることを示唆しているのかもしれない。分離、浄化されたCBDの抽出物または調合物の原料は、THCに対するCBDの割合が高い大麻草だ。また、科学者のなかには、大麻草そのものを焼いたり吸ったりするのとは違い、気化させると固有の合併症が引き起こされることを懸念する者もいる。大麻の葉から抽出されるロウ状の物質を分解することができず、それがVAPEユーザーの肺に蓄積し、炎症を引き起こす可能性があるのだ。さらに、ピース教授の研究チームがCBD製品を調査したさい、そのうち数個にパッケージに記載されていない憂慮すべき物質が含まれていることが判明したという。彼らが調査した製品について、「広告に真実が書かれていることは滅多にありません」と教授は述べている。

医療関係者は、市場に蔓延する密かに不純物が混入した製品を、VAPEによるCBD吸入に関連する、他のどの摂取方法よりも危険性の高い、最大のリスクとみなしている。米陸軍による健康被害の警告は、合成したカンナビノイドと高濃度のTHCがこれらの製品に混入していることが、これまでに報告されたCBD吸入による症状の(全てではないにしろ)大半の原因である可能性が高いとして、その危険性を訴えた。また、不純物の混入は、VAPEユーザーにとっても大問題になりうる。ピース教授は、普段なら、VAPEによるCBD吸入に興味のあるひとびとには、製品のラベルを読んだり、用量や薬物相互作用について医師に相談するなどして、注意して使うように、とアドバイスするだけという。しかし、疑わしいブランドのマスターリストも、それらを突き止める方法を知っているひとは存在しない。一見合法に思える小売業者でも、粗悪なCBDチンキを売っている場合もあるという。

つまり、CBDオイルの〈注意深い消費〉は、ほぼ不可能なのだ。業界における不純物混入の規模もわかっていない現状では、ユーザーが現実的かつ合理的にリスクを判断することもできない。このリスクを回避する唯一の現実的な策は、他のVAPEと同様、業界全体における規制強化だ。ただ、今のところ規制強化の動きはないので、当面のあいだはVAPEでCBDなどを吸入するさいは充分に注意し、リスクを認識したうえで使用するほかないだろう。

This article originally appeared on VICE US.