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ナイジェリア北部で500万人を 飢餓に追い込んだボコ・ハラム

2009年、武装蜂起したボコ・ハラムはボルノ州一帯を支配し、その後、隣国のチャド、ニジェールに進攻した。2015年、ナイジェリア政府は、同国北部で軍事作戦を激化させたため、食料、医療、交易を含めたあらゆる面で、同地域の住民数百万人が孤立してしまった。徐々に明らかになる惨状に、現地入りした人道支援組織は驚いている。

by Kayla Ruble
23 September 2016, 1:56pm

国際救済委員会(International Rescue Committee、以下IRC)は、ナイジェリア北部でボコ・ハラムが引き起こした7年にも及ぶ戦禍により、「大至急、食料支援を必要とする」約500万人と、栄養失調の子供たち25万人が現地に取り残されている、と報告した。

ボコ・ハラムの支配により立入れなかった地域に、最近になってようやく到着できた支援スタッフたちは、現地住民、国内避難民を苦境から救うべく支援活動に尽力している。

IRCのナイジェリア支部長サラ・ンディクマナ(Sarah Ndikumana)は「飢饉の危機はまくもって人為的なのが何より問題です」と言明した。「私たちは、戦禍に巻き込まれざるを得なかった5歳にも満たない、数え切れないほどの子供たちが死の淵に立たされているのを目の当たりにしています」

生後6カ月のファルマタ・ウサマン(Falmata Usaman)は, 深刻な栄養失調のため, マイドゥクリ(Maiduguri)の移動クリニックで治療を受けている, 38歳の母親が彼女を支え、医療スタッフが上腕の周囲を測る. Photo by Tyler Jump/International Rescue Committee
父親とともにヨベ州(Yobe State)の病院で栄養失調の集中治療を受ける彼の息子. Photo by Ikram N’gadi/Medecins Sans Frontieres

トビー・ランツァー(Toby Lanzer)国連事務次長補による、同地域の危機的状況にに国際世論の注目を集めるための積極的行動により、世界に向けて、IRCの支援活動要請が始まった。

「これから始まる飢饉は、私たちが今までに経験したことのない規模になるでしょう」とランツァー事務次長補は懸念する。

ナイジェリア北部で生活する5歳以下の子供15%が栄養失調であり、国連の概算によると、1日184人の子供たちが、飢餓や食料危機が引き起こす様々な健康上の問題で命を落としているようだ。

国境なき医師団(Medeicins Sans Frontieres, 以下MSF)の救急医ナタリー・ロバーツ(Natalie Roberts)は同地域の現状を、「世界で最も深刻な健康上の危機であり、多数の地域住民が影響を被っています」と表現した。「今このご時世、ナイジェリアを襲った栄養不良の度合いと死者数には驚きを禁じえません」

MSFのスタッフが働く栄養管理と小児科を兼ねたモングーノ(Monguno)のクリニック. Photo by Ikram N’gadi/Medecins Sans Frontieres

夏のあいだ、戦闘が苛烈なゆえに立ち入れなかった地域に人道支援組織が訪れ、ナイジェリア北部が瀕する危機の深刻さが徐々に明らかになっている。なかでもボコ・ハラムが発生したボルノ州(Borno State)のダメージは大きい。

2016年6月、国境なき医師団は軍の許可を得て、以前、ボコ・ハラムに襲撃されたバマの町を訪れた。軍用車隊とともに、24、000人が生活するキャンプを発見すると、すでに200人が餓死し、数百人の子供たちが飢餓による栄養失調で苦しんでいた。その状況を、同医師団は「壊滅的人道緊急事態」と表現した。

2009年、武装蜂起したボコ・ハラムはボルノ州一帯を支配し、その後、隣国のチャド、ニジェールに進攻した。2015年、ナイジェリア政府は、同国北部で軍事作戦を激化させたため、食料、医療、交易を含めたあらゆる面で、同地域の住民数百万人が孤立してしまった。各支援組織は、予想の範囲内であれば、その作戦が引き起こした惨状にも驚かなかっただろう。

しかし、「私たち誰ひとりとして、ここまで酷い状況とは想像していませんでした」とロバート医師は、当時の衝撃を回想した。

バマの難民キャンプでは推定約1,5000人が生活している. ほとんどが女性と子供だ. ここから数キロ離れた場所にはボコ・ハラム戦闘員が陣取っている. Photo by Ikram N’gadi/Medecins Sans Frontieres

ロバート医師によると、2016年6月以来、国境なき医師団は、月にいちど、軍のヘリコプターでバマに入れるようになったそうだ。バマ附近には、今だに戦闘が続く前線があるため、同地区の家々はもぬけの殻だ。住民たちは避難キャンプに隔離され、保護されている。救援活動者は2~3日であれば、キャンプでの滞在を許されている、と彼女は説明してくれた。

世界保健機構(WHO)は、同地域での活動に尽力する、と発表して以来、世界で最も危険な地域での人道支援に勤しんでいる。国連の保健機関は、栄養不良問題に加え、ポリオの発生、現地医療機関の壊滅的状況を目の当たりにした。

国境なき医師団によると、ここ数年は救援活動もままならず、比較的安全であったはずのボルノ州都のマイドゥグリでも栄養不良問題が深刻な問題になっているそうだ。数百数千の家を追われた住民たちが難民キャンプ、州都内、近郊の非公式避難所での生活を余儀なくされている。

ロバート医師は、避難民すべてに行き渡るほどの食料は届いていない、と実情を明かした。栄養不良問題、その他の健康問題に応急処置は施せるものの、食料が不足している以上、根本的解決には至らない。

「われわれの活動は、長期的な解決策ではありません」と彼女は吐露した。「もし食料危機が続くようであれば、彼らは再び栄養失調になるでしょう。状況はどんどん酷くなっています」