シンメトリー(左右対称)をひたすら繋ぐ
映画監督、脚本家のウェス・アンダーソンの作品は、映像を一目観ただけで彼の作品だと分かるような独創的な世界観が存在する。「緻密な色使い」「細部にまでこだわった衣装や小物」、カメラワークでは「ノーカットの長回し」「対象物を真上から俯瞰するショット」などが彼の作品の特徴として挙げられる。
今回紹介するのは、彼のカメラワークのもう一つの特徴である「シンメトリー(左右対称)になっているショット」。彼の作品を観たことがあれば、いくつかの印象的なシーンを思い出すことができるかもしれないが、韓国人映像作家Kogonadaがアンダーソンの作品の中からシンメトリーになっているシーンを繋ぎ合わせて一つのクリップにまとめてくれているので、その映像をご覧頂きたい。
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徹底した芸術センスを貫くアンダーソン
アンダーソンは視覚芸術に置ける基本構図の三分割法を敢えて破ることが多く、被写体をフレームの真ん中に配置した上で真正面から撮影することがよくある。Kogonadaが作った2分間のクリップには、そんな「真正面からのアプローチ」が次々と登場する。過去のアンダーソン作品から、新作『グランド・ブタペスト・ホテル』にいたるまで、彼の映像作品を一気に振り返ることができる。
映像作家であるKogonadaは、アンダーソン作品をさらに奇抜で独創的なものとして再確認する上で、重要な一翼を担っていると言えるだろう。「シンメトリー(左右対称)になっているショット」にスポットライトを当てた今回のクリップだけでなく、先にリンクした「対象物を真上から俯瞰するショット」を繋いだ映像も彼の作品である。
アンダーソンの独創的な「シンメトリー」に浸った後は、この見事な作品から切り取った以下のスチール写真を観て頂きたい。ときには三分割法(といったその世界の常識)を破ることも必要だということが分かってくるかもしれない。彼のように「何の迷いもなく一貫して常識を破り続ける」ことができるのであれば。
映像作家Kogonadaの他の作品は、彼の公式サイトから観ることができる。 ウェス・アンダーソンのファンによるアート作品は、こちらの記事からもチェック。
Translated & Edited by Shotaro Tsuda