2009年以来、過激武装集団「ボコ・ハラム」は、ナイジェリア、カメルーンをはじめ近隣諸国の村々を襲撃し続けている。2014年、シボク村でナイジェリア女性276人を拉致し、その名を世界中に轟かせた。事件に対して繰り広げられた「#BringBackOurGirls」キャンペーンは有名だが、拉致・誘拐された女性たちは、未だ戻らない。
長年に渡るボコ・ハラムの襲撃活動は、集団の活動地域に深刻な食料危機を起こし、当の集団構成員もその事態に巻き込まれた。
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『ニューヨーク・タイムス』によると、ボコ・ハラムの襲撃は、依然として暴虐の限りを尽くさんばかりの勢いらしい。統一感のまるでない、盗難トラックのコンボイがもの凄いスピードで村に乗り込み、視界に入る村人を手当たり次第銃撃する。しかも、最近の襲撃は、狂信的使命感からではなく、食糧目当てだ。
「彼らは食糧を求めている。間違いなく飢えている」。カメルーン、ミジャワ・バカリ極北州知事は断言した。「彼らは何でも盗む」
2月初旬、ボコ・ハラムは、カメルーンで4000頭以上もの畜牛を盗んだ疑いがある。『ニューヨーク・タイムス』に掲載されたいち例によると、1月初旬、ボコ・ハラム構成員はカメルーンのある町から150もの山羊、羊などの小型動物を盗んだらしい。集団は、いち度その町を後にしたが、すぐに舞い戻り、動物をナイジェリアに連れて行くために6人の住民を誘拐した。
ナイジェリア北西部では数万人もの住民が食糧不足に喘ぎ、カメルーンでは食糧不足のため、マーケットは閉鎖されている。マーケットが開催されても、買い物客は、ボコ・ハラムが頻繁に起こす自爆攻撃の可能性に怯えている。
ボコ・ハラム構成員は、乾期の最中にもかかわらず、サンビサの森で食糧漁りに勤しむか、食糧がありそうなところであれば、どこへでも襲撃に出かける、と『ニューヨーク・タイムス』は報じている。米国務省によると、食糧狩りはカメルーン内陸部にまでおよぶらしい。
先週水曜日には、ナイジェリア北西部で、痩せ衰え、食糧を乞うボコ・ハラム構成員76人が投降した、とAP通信は伝えている。
自爆攻撃や無防備なターゲットに対する攻撃が増えているのは、ボコ・ハラムが自暴自棄になった証左だ、とナイジェリアのライ・ムハンマド情報相が『Vanguard Nigeria』に明かした。
ナイジェリアのボコ・ハラム被害はどこよりも深刻で、250万人以上の国民が地所を追われた。国連人道問題調整事務所によると、ナイジェリア人460万人が食糧安全保障の埒外にいるという。
国境地帯では、6年にも及ぶ騒動により死者2万人を数え、2015年末のテロリスト番付で、ボコ・ハラムはISを抜いてトップに躍り出た。2014年、ボコ・ハラムが手にかけた犠牲者の数は、ISの6,073人を上回る、6,664人だった。
最近、カメルーンとナイジェリアを中心に、チャドとニジェールの部隊が参加する多国籍軍は、ボコ・ハラム掃討作戦を部分的に成功させたが、ボコ・ハラムが跋扈する地域を完全に掌握するのは困難だ。ボコ・ハラムが占拠した土地を徐々に取り戻しし、兵站を断つべく、米軍は、多国籍軍の顧問として作戦をサポートしている。
しかし、決定的な解決策は未だにない。食糧不足に喘ぐのはボコ・ハラムだけでなく、市民もまた然り。