HBOは、今春放映する4部作のドキュメンタリーシリーズ『The Defiant Ones』の中で、ドクター・ドレー(Dr. Dre)とジミー・アイオヴィン(Jimmy Iovine)* の登場シーンで使用する写真を探すため、DEATH ROW RECORDSに所属していた写真家シモン・グリーン(Simone Green)に連絡した。グリーンは、この有名なヒップホップレーベルでの体験を綴った著書『Time Served:My Days and Nights on Death Row Records』(2012)を執筆したベテラン写真家だ。モハメド・アリ(Muhammad Ali)、シュガー・レイ・レナード(Sugar Ray Leonard)といったボクサーから、バリー・ホワイト(Barry White)、ルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross)、そして80年代のソウルトレインにおけるスティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)など、各界の有名人を撮影していた彼女が、シュグ・ナイト(Suge Knight)と初めて出会ったのは、まだ彼がSOLAR RECORDSで使い走りをしている頃だった。
* THE WORLD CLASS WRECKIN' CRU に女性ヴォーカリストとして関わり、ドレーの全面プロデュースでデビューを果たしたシンガー。ドレーの婚約者でもあった。
** N.W.A.のデビュー・アルバムである。歴史的名作。
DEATH ROWファミリーのピクニックですね。皆が赤い服を着ていました。お婆ちゃんも孫たちもね。公園に着くと、警察が包囲していましたっけ。たくさんのシボレー・インパラを駐車していたので、私はシュグに、その光景を撮るよう指示されました。私は知らなかったのですが、緑色にも血の意味があるんですね。赤じゃなかったら、緑だったと聞きました。シュグは、刑務所の仲間に送りたいというので、私はそれぞれの写真を5枚コピーして、アルバムをつくらなければなりませんでした。彼はこの写真アルバムで、DEATH ROWの現状を仲間に伝えようとしていました。ケアパッケージにして私は刑務所に送りました。シュグは仲間に対し、非常に義理堅い人間でしたね。デタラメをいう人間はすぐにわかります。彼らはゴマすりが得意ですから、渡世が上手です。ゴマをすらないと、叩きのめされるか殺されるかです。ええ、どちらかですね。私は、ゴマすりは得意ではないけれど、恐れませんでした。DEATH ROWに入ったとき、私はシュグを恐れてはいませんでした。それが良い方に働きましたね。シュグは、自分を恐れていない私を知っていたからです。シュグに会うほとんどの人は、彼を恐れています。彼の悪名は、響き渡っていましたから。
DEATH ROWのクリスマスパーティです。メアリー・J.ブライジ(Mary J. Blige)と契約するところでもありました。DEATH ROWは、様々なイベントでパーティを開催するのが上手でした。控え目なパーティなんてありませんでしたよ。私は写真を撮るとき、いつも何かを撮らえようとしていました。でも私の写真が、彼らの歴史に残るなんて考えたこともありませんでした。当時は「シュグがパーティに来る」と聞くと、何かが起こるだろう、と予想できました。例えば、もしあなたに彼女がいて、彼があなたに腹を立てたら、シュグはあなたの彼女を寝取るタイプですね。