『イカゲーム』:北朝鮮の辛口レビュー

韓国ドラマは禁止されているはずだが、北朝鮮もやはりひとこと言いたいらしい。
Junhyup Kwon
Seoul, KR
Squid Game, North Korea, K-drama, Netflix
北朝鮮のメディアは、『イカゲーム』がいかに韓国社会の病理を露呈しているかを強調している。PHOTO COURTESY OF NETFLIX.

今、誰もが語りたがっているNETFLIX シリーズといえば韓国ドラマの『イカゲーム』。そこに、意外な声が加わった。北朝鮮だ。

この閉鎖的な国では韓国ドラマは厳しく禁止されているが、今月、北朝鮮のプロパガンダを発信するWebサイト〈アリラン・メアリ〉が『イカゲーム』について、「本シリーズは、弱肉強食、汚職、不道徳がまかり通っている韓国の現実を暴露している」と言及。世界的ブームを巻き起こしているこの作品に乗じるかたちで、南の隣国の「悲しい」生活環境を批判した。

命を賭けたサバイバルゲームを描く本作は、NETFILX史上最大のヒットを記録。公開から1ヶ月も経たないうちに、視聴者数は1億1100万人に達したと発表された。

本作は9エピソードからなるシリーズで、登場人物たちはだるまさんがころんだなど、子供の遊びに挑戦。負けると殺され、時に参加者同士が殺し合い、勝者だけが大金を手にするデスゲームを描く。

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「この作品は、人々が苛烈な競争に駆りたてられる、残忍な社会の悲しい現実を気づかせると言われている」と同記事は指摘。「貧しい者が富裕層のチェスの駒のように扱われる不平等な社会への怒りを掻き立てると言われている」

これは明らかに、たとえば炭鉱での労働を志願する孤児(他国では〈児童労働〉として知られる)など、北朝鮮が主張している、同国の労働者への〈優れた〉扱いとは対照的だ。

テレビ番組や音楽を含む韓国のポップカルチャーは、北朝鮮では禁止されており、違反すると重い罰金や懲役が科される。

しかし2016年に開設された〈アリラン・メアリ〉は、これまでも韓国カルチャーをプロパガンダのネタとして使ってきた。

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韓国のサバイバルドラマ『イカゲーム』のワンシーン。PHOTO COURTESY OF NETFLIX

今年9月には、別のNETFLIX オリジナルの韓国ドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』を取り上げた。軍隊の脱走兵を捕らえる追跡部隊を中心に、韓国軍の過酷な現実を描いた作品だ。

〈アリラン・メアリ〉は『イカゲーム』の記事同様、このドラマが韓国軍ではびこる暴力や汚職という、韓国の社会病理を可視化していると指摘した。

プロパガンダはさておいても、韓国と北朝鮮は互いに軍備を強化し、より強力な武器を開発しようと競っており、両国の緊張は依然として高い。

平壌はミサイル問題について、米国と韓国から自国を守るために必要だ、と正当性を主張している。

10月中旬、北朝鮮の国営テレビでは展示会に並ぶ兵器、ジェット機、軍隊を紹介。映像では、瓦割りをする兵士を見て微笑む金正恩総書記が映っていた。

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