トランプ次期大統領の提言を尻目に ビル・ゲイツは10億$ファンド設立

マイクロソフトのビル・ゲイツ、Amazon.comのジェフ・ベゾス、アリババのジャック・マー、LinkedInのリード・ホフマンなど、ビジネス界の蒼々たる顔ぶれが集まり、環境技術に特化した10億ドル規模の投資ファンドを設立すると発表した。

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27 December 2016, 8:13am

大統領選に当選したドナルド・トランプ(Donald Trump)は環境規制緩和を発表し、これまで気候変動に取り組んできた関係者に警戒しているようだ、と囁かれている。それでもビジネス界は慌てない。

マイクロソフトのビル・ゲイツ(Bill Gates)、Amazon.comのジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)、アリババのジャック・マー(馬雲)、LinkedInのリード・ホフマン(Reid Hoffman)など、その他ビジネス界の蒼々たる顔ぶれが集まり、環境技術に特化した10億ドル(約1150億円)規模の投資ファンドの設立すると発表した。『Breakthrough Energy Ventures(BEV)』と名づけられたこのファンドは、今後20年間の活動を予定しており、温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー生産技術へ集中的に投資する。

このファンドは、「Breakthrough Energy Coalition(BEC)」から派生した。ビル・ゲイツ氏は昨年、世界各国のビジネスリーダーや、各国政府首脳が気候変動に取り組むきっかけをつくるべく、数十億ドルをかけてBECを発足させた。ここにはドナルド・トランプ氏から睨まれている左派寄りの人物、投資家のジョージ・ソロス(George Soros)、トランプ氏と事業関係にあったビジネスマン、ソフトバンクの孫正義氏などが名を連ねている。

トランプ氏はクリーンエネルギー推進派に、事実上、宣戦布告した。それでもビジネスリーダーの多くは、技術開発を続けており、もたついていてはアメリカがクリーンエネルギー技術の主導的立場を他国に奪われる、と警鐘を鳴らしている。その理由は、自然環境保全のためでなくビジネスチャンスでもある、と信じているからだ。

トランプ政権下でも、風力や太陽光などの代替エネルギーは普及する、というのが経済アナリストの意見だ。なぜなら、代替エネルギーは急速に値下がりし、化石燃料よりも安価になりつつある。政府からの補助金が減っても競争力は維持できる。トランプ氏が政権を握り、共和党が議会の多数派を占める現状、補助金の削減は、まず間違いない。

しかし、ビル・ゲイツ氏をはじめBEVに携わる関係者たちは、これまでの太陽光や風力発電だけでなく、いわゆる「Breakthrough Innovations(画期的な技術革新)」にも注目している。2月に公表された2016年の年次書簡で、ゲイツ氏と妻のメリンダ・ゲイツ(Melinda Gates)は、気候変動への取り組みの基軸を新しい技術革新に移していく、と発表。その理由として、「奇跡のようなエネルギー革命が求められているから」と強調する。

「CO2の排出量は日ごと増加し、気候変動の問題はますます深刻になっている。少々無茶な発想も含め、何千もの新しいアイディアを精査をしなければ、21世紀中にCO2排出量をゼロにする、という目標は達成できないだろう」とふたりは書いている。