BTSの広告、「同性愛を促進する」として撤去される

メンバーのジョングクの誕生日を祝うファンの応援広告は、設置のわずか数時間後に取り外された。
Rimal Farrukh
Islamabad, PK
NO
translated by Nozomi Otaki
BTS, pakistan, censorship, homophobia
BTSジョングクの応援広告(左)は、「同性愛を助長する」としてイスラム主義政党員に撤去された(右)DAWN IMAGES

今年9月1日、BTSメンバーのジョングクの誕生日を祝うため、ある熱心なファンがパキスタン、グジュランワラの交通量の多い交差点に、この韓国の歌手の広告を出した。

広告には、彼の写真とともに「24歳の誕生日おめでとう」「BTSジョングク グジュランワラのアーミー」という言葉が掲載された。 

パキスタンのファンたちは、地元にこのポップスターが現れたことに歓喜した。〈アーミー〉として世界中で知られるBTSのファンは、世界でも特に熱心で国際色豊かなファンベースのひとつだ。

しかし、そのわずか数時間後にパーティーは終わりを迎えた。州議会議員候補のイスラム主義政党イスラーム党(Jamaat-e-Islami)党員がFacebookでこの広告の存在を知り、取り外しを命じたのだ。

「たくさんの苦情が寄せられ、大騒ぎになりました」と州議会議員候補のファーカン・アジズ・バット(Furqan Aziz Butt)はVICE World Newsに語った。「この街には多くの若者が住んでいます。このグループ(BTS)は若者に悪影響を与え、誤った行動へと導いている。彼らは同性愛を促進しています」

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「なぜここに(広告が)出されたんでしょう? ここにはブランドの名前もないし、何か商品を売っているわけでもない。広告を出した人たちは、グジュランワラ・アーミーと名乗っています。でも、ここにあるのは〈パキスタン・アーミー(パキスタン陸軍)〉だけです」

パキスタンにどれほどのK-POPファンが存在するのか、まだ知らないひともいるらしい。K-POPの人気に疎い人びとは、しばしば男性K-POPアーティストの外見やファッションを冷笑し、この業界の男性の美の基準に馴染みのない人びとは、それを〈軟弱で男らしくない〉とみなす。

「年上の世代は、彼らがあまりにもやせすぎていて、身体的特徴や服装が女性的すぎると考えています。化粧をすることも問題視しています」と語るのは、イスラマバードに住む24歳の学生で、BTSのファンのザイナブ・ザーマン(Zainab Zaman)だ。

広告の撤去は、地元のファンの怒りと失望を招いた。ファンたちは今回の撤去について怒りのこもったツイートを続けている。

パキスタンのアーミーが恥ずかしく思っているのは、広告撤去の裏にある偏見だ。

「このグジュランワラの出来事によって、パキスタンのアーミーは深く傷つきました」とザーマンは訴える。「突然現れた政治家が、BTSは同性愛を助長し、下品な行動を広めている、と主張するなんて。BTSは曲の中で下品な言葉を使ったりはしません。自分を愛し、幸せになることについて歌ってるだけ。彼は自分がどれだけパキスタンのイメージを悪くしているのか気づいていないんでしょうか?」

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