女性のお化粧のことはまったく分からないのですが、いつも行ってるスーパーのレジのお姉ちゃん、まつ毛の上あたりに幅0.5ミリくらいの黒線を入れています。とっても清楚な感じなのにどうしてなんでしょう。ゴスっ子キューカンバかなー。
日々の生活の中で、私たちはたくさんの人たちとすれ違います。でもそんなすれ違った人たちの人生や生活を知る術なんて到底ありません。でも私も、あなたも、すれ違った人たちも、毎日を毎日過ごしています。これまでの毎日、そしてこれからの毎日。なにがあったのかな。なにが起るのかな。なにをしようとしているのかな。…気になりません?そんなすれ違った人たちにお話を聞いて参ります。
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大野咲紀(おおの さき)さん(31歳):会社員
あれ、ちょっとお顔が赤いですね。
…はい、すいません。
ひっかけました?
…はい。すごく緊張していまして。軽く一杯。
そうですか。全然いいですよ。どこで飲んで来たんですか?
えっと…あそこは原宿でしょうか。すいません、うまく説明できなくて。…パイを。
パイですか。パイを肴にしたんですね。
ぱい。
大野さんは会社の同僚の方からの他薦ですが、よく受けてくださいましたね。どうしてですか?
もうすぐ退職して、台湾に引っ越すことになりました。それで「記念に出ろ」って。
上司命令ですか?
…いえ、そういうわけではありませんが。でも何を話していいのか…。
じゃ、お酒足りなくなったら言ってくださいね。パイはありませんが。さて、大野さんは不動産屋さんだと。それもオシャレなR-STOREさん。私、来年更新なんです。で、そろそろ引っ越そうかとも思っています。今日は相談に乗って頂けますか?
はい。
酔っ払って変な物件紹介しないでくださいね。
はい、大丈夫だと思います。
ありがとうございます。では部屋探しの前にチョロッと聞かせてください。ご出身はどちらですか?
大阪の阿倍野です。天王寺の近くです。
調理師の専門学校があるところ…
そうです、そうです、ツジチョー。辻調理師専門学校です。
ツジチョー!っていい響きですね。そこからずっと大阪ですか?
はい、東京に来たのは5年前です。
小学校の頃とか大阪で何をして遊んでましたか?
…え、そうですね…。何をしてましたでしょう…。
こちらのコーナーに出られる方って、結構みなさん小学生の頃って思い出せないんですよね。
ゴム跳びとかしていました。合ってますでしょうか。
はい、合ってますが、もうすこし欲しいですね。
あまり昔のこととか言わない方がいいんでしょうか?
いえ、それは困ります、成り立ちませんので。スポーツとかは?
運動は得意ではなかったんです。
好きなテレビとか。
はい、観てましたが、何でしたでしょうか。何してたんでしょう…何をしてたかって難しいですね。
大野さん、酔ってます?じゃ、小学校のときに一番好きだったゴハンを教えてください。
えっと…あ、嫌いなのはありました。給食で出た茄子の揚げびたしですね。
でも今は美味しいと思っていると。
ですね、不思議ですねぇ。
好きなものは何ですか?ハンバーグとか?
サーモンです。
鮭ですか。
あ、思い出しました!小学校のときはキャンプに行ってました。そこで毎回、鮭の丸焼きが出るんです。好きでした。
ありがとうございました。じゃ中学にいきましょう。覚えてますか?部活とか?
吹奏楽部に入りました。トランペットをやれって言われました。
どんなのを吹いていました?プップクプップクーは?
プップクプップクーは、普通にミッキーマウス・マーチから始まって…
フフフ。
あとは甲子園のタッタータタタ、タ・タ・タ、ってやつです。
え、そんなのやるんですか?
え、やらないのでしょうか?当たり前だと思っていました。
土地柄なのかもしれませんね。普通の公立高でしたか?
はい。
好きな男子とか出来ました?
あ、いたー…ですね。
どんな子でした?何部?
野球部です。
芸能人では誰に似ていましたか?
…すいません、当時の顔はあまり覚えてません。実は今もよく会うのですが、現在のおじさん顔の方が強くて。
そうですか。残念です。じゃ高校に参りましょう。普通校ですか?
はい。
じゃあ、また繰り返しますが、部活は?
テニス部に入りました。でも一年で辞めました。
そうですか。じゃバイトは?
あ、やってました、スーパーのレジ打ちです!
なんてスーパーですか?
え?
東京だったらサミットとかオーゼキとかあるじゃないですか。
ああ、そういうことですね。コーヨーです。
大阪では有名なスーパーなんですか?
はい。
レジ打ちは大変でしたか?
大変でした。私、ご覧の通りトロいので、他の人よりさばくのが半分くらいでした。
大変でしたね。じゃ、またですが、高校時代の恋愛について教えてください。彼氏はいましたか?
…はい、ちょいちょいと。
ちょいちょいかー。やってやりやがったんですね。どんな人でしたか?
ラグビー部の部長と付き合ってましたが、あんまりうまくいかなかったです…えっと、すいません、あまりこれも覚えてない感じです。
了解です!じゃ、大学いきましょう!どこのどんな大学に入ったのですか?
地元の大学で、学部は人間科学部です。
なんでその大学を選んだのですか?
家から近かったからです。
親元を離れて、一人暮らししたいとは思わなかったんですか?
なんか、みんな地元の大学に行くのが当たり前だったんです。それが普通って感じで。家を出るって頭はありませんでした。
大学は楽しかったですか?
いえ、これがなんだか…あまり面白くなかったんです。
どうしてですか?友達がいなかったとか?
そうですね…理系だったので、ちょっとGEEKというか、シャツINの人が多くて…やべぇって。
結構ひどいこと言いますね。じゃ、何してたんですか?
一、二年は塾でバイトをしていました。それで三年になったんですが、その時点で単位もほぼ取り終えてしまっていたんです。このままバイトだけで大学時代が終わるものイヤでしたので、考えた結果、インテリアの専門学校に行くことにしました。
おおダブルスクール!いい感じに動きが出てきましたね。ありがとうございます。もともとインテリアに興味があったんですか?
興味はあったんですけど、別に勉強するほどではありませんでした。ただなにより時間が余っていて、暇になりましたので。
インテリアの勉強って何をするんですか?
座学でしたらブランドの歴史や、色の合わせ方、プランニングとか。あと作品作ったりもしていました。
じゃ、例えば私が「この部屋をなんとかしてください」って頼んだら、家具選んだり、デザインしてくれたりするのですか?
そうですね、そういうことをやられている方もいます。
で、そっち系の就職をされたのですか?
はい、したかったんですけど、なかなか就職がハードな業界でして、最初はデザイナーさんに弟子入りして、修行みたいな感じなんです。お給料も少ないですし、保険も無い。とりあえず一年間は学校に残って、アシスタントみたいなことをしていたんですけど、やはり自活できないと親に申し訳ないので就職しました。
大野さん、前半より饒舌になられましたね。お酒、抜けたかな?で、どんな会社に就職したのですか?
大阪のリクルートです。
どんなことをやっていたのですか?
ホットペッパーで、営業事務をやっていました。
どんな業務内容なのですか?
営業さんが書いた記事とかをクライアントに送ってやりとりをしたり、営業さんの成績をまとめたり。
じゃ、リクルートを辞められて、5年前に東京に来たと。そのいきさつを教えてください。
もともと三年やったらちょっと考えようって思っていたんです。それでやはりインテリア学校に行っていましたので、家関係の仕事に就きたいと思っていたんです。それで情報を集めていたら、気になっていた会社がツイッターで求人をしていたんです。それで行くしかない!と。それが今の会社です。
はい、お疲れさまでした。来ましたねぇ、お部屋探しのコーナー。シャレオツな物件、紹介してくださいね。でもその前にもうちょっと。いきなりの東京は不安じゃなかったですか?
不安はありませんでした。それに、面白い物件を記事にして、サイトに載せて、成約に繋げるという会社は、当時ほとんど無かったんですね。もちろん大阪にはありませんでしたし。あとやっぱり東京には面白い人がたくさんいるから、面白い家もたくさんあるだろうと。ですから楽しみの方が大きかったです。
最初はどこに住んだのですか?自社物件?
はい、扱っている物件で、西荻窪でした。
でもR-STOREって今でこそお名前聞きますが、当時はまだまだだったのではないですか?
はい、社長一人でやっていました。
わぁ、まだそんな規模だったんですね。よく決めましたね。潰れちゃうとか、お給料出るのかなぁ、なんて心配はしなかったんですか?
みなさんにそう言われるんですけど、本当に何も考えてなかったんです。世間知らずでした。
その頃はどんな業務をされていたんですか?
もう不動産の通常業務で、物件を探して、紹介して、お客さんを案内して、成約するという仕事です。
じゃ、会社がどんどん大きくなっている過程を肌で感じていたわけですね。
いやぁ、でも実際はそんな感触はまったくありませんでした。もちろん頑張って、頑張って、会社的にはここまで来たのかなって気はしますが。
でもお給料も上がって、大野さんもちょっといいところに引っ越したり。
はい。
今度はどちらに?
横浜の綱島です。
そこも自社物件?
いえ、これはSUUMOで見つけました。
そんなもんなんですね(笑)。じゃ私生活も充実して来て。彼氏とかは?
ちょうどその頃結婚したんです。
あら!そうなんですか。出会いは?
大学の同級生です。
あれ!さっきGEEKとかって言ってたじゃないですか。そのときから付き合っていたんですか?
いえ、大学を出てから…正確に言うと卒業間近から喋り始めて、それで卒業後に付き合い始めました。
でも大野さんは東京に来ちゃって、遠距離恋愛していたんですか?
いえ、もともと旦那の仕事は転勤が多かったんです。ですからほとんど離れ離れだったんですけど、彼の転勤に合わせて結婚して、綱島に引っ越したんです。
そうなんですね、やっとご一緒に。良かったですね!
でもその半年後に、彼はまた静岡に転勤しました。
そうですか。お仕事って大変ですね。さてR-STOREさんのお仕事です。今イチ見えてないのですが、店舗もあるんですか?
いえ、サイトだけになります。
サイトで物件見るのって楽しいじゃないですか。でもそれを見つつ、やっぱ最終的にはそれを紹介している不動産屋さんに出向くのが当たり前に感じてしまうのですが。
いえ、最近はサイトから直接の方も多いんです。サイトで物件見て、内見のお申し込みを頂いて、現地でご案内します。
大野さんはそのやりとりをやられてらっしゃる。
そうですね、自分が取材した物件が担当物件になるんです。
取材?なんですか、それ?
物件に行って、写真を撮って、その物件に関するテキストを書きます。
確かにR-STOREさんのサイトって、テキストも面白いし、おかしな物件も多いし、見ていて楽しいですよね。でも不動産屋さんって、同じ空室データがぶわーっと届くじゃないですか。他の不動産屋さんも同じ物件を紹介してる訳で。大野さんはどうやって違いを出すようにしているのですか?
人によって着眼点は違うと思うんですが、従来の不動産屋さんでしたら、例えば風通しとか、景色とか、日当たりとか、環境とか、分からない部分があると思うんです。でもそこに実際に行って、いろんなことを見て、体験して、それをきちんと紹介するようにしています。
あれってムカつきますよね、サイトで写真20枚くらいあるのに、5枚くらいが部屋関係で、残り15枚がスーパーやら小学校やら消防署やら。
(笑)。もちろん、それも大切な要素ですから。でも私は割と部屋の中での時間の過ごし方って部分を気にしちゃうんです。この時間帯はこの場所がいいとか、窓際が気持ち良いとか、そういうのを押しているんです。
でも家ってみんなが見るものじゃないですか。さらに誰が見てるのかも分からない。男性なのか女性なのか、若い人なのか、おじいちゃんなのか。そんな中、店舗ではなく、見えないお客さんに向けてアピールするのって大変じゃないですか?
そうですね。ある方に言われたのは、不動産は同じものが本当にひとつも無いと。例えば、同じマンションの同じ階の隣の部屋ですら陽当たりがもう違う。なので100人見て100人、もしくは50人に気に入ってもらえる必要は無くて、1人でも気に入って頂けたらいいものだと。そういう商品だと言われたんです。ですので、そう思ってやっています。
なるほどー、その通りですね。大野さん、完全に酒抜けましたね。ちなみに担当地区はどちらだったんですか?
無いんです。どこ行ってもいいんです。
じゃあ、ぶわーっとデータが来たら、目を通してビビッ!と感じたところに行くと。ちなみにどんだけ担当するものなのですか?
だいたい400件くらい…
ってことは、400件取材するんですか?
そうですね。
そりゃ、スゲエ!じゃ、大野さんの頭コンピュータの中から、今までで気に入ったお部屋を教えて頂けますか?
うわー……難しい質問ですね…。どこかなぁ………あ、駒沢大学の物件なんですけど、すごいヴィンテージなところで、築40年くらいのところなんですけど、建具とかも古いんですね。それで普通だったら取り替えるときに、ちょっと残念なテイストになっていくのですが、そこはヴィンテージのまま再現して、内装とかもずっとそのまま、まったく既製品とかも使っていないところなんです。
高い?
ええ、30万くらいです。
やはりねぇ~。それは死んでも無理だー。じゃ、そろそろお願いします。家賃はこれのチョー半分以下、私、奥さん、子どもの三人です。保育園に入っているので、今住んでるところの近く。50平米以上。トイレ、風呂別。室内洗濯機置場。ウォシュレット絶対完備!!ありますか?
あります、あります、探せば全然ありますよー!
問題は猫二匹!!
あ、なるほど…。
大野さん!どうなんですか!!
…正直ペットが入ると難しくなりますね。
なんとかしてください。ペットも家族ですよ。
ご一緒に探しましょう。
でも大野さん、辞めちゃうんでしょ?
あ、すいません。
辞めてどうされるんですか?
旦那さんが台湾に転勤になりましたので、一緒に行くことになりました。
あらー、やっとご一緒に住めるんですね。おめでとうございます。
ありがとうございます。
でも私の部屋問題は解決していないので、最後に部屋を探している人にアドバイスをお願いします。探すときの最大のポイントはなんですか?
具体的な部屋の構造とかより、どういう暮らしをしたいか…ということを先に考えられた方がいいと思います。思ってもみない物件に出会うと、これもいい、あれもいいって、どんどん最初の条件からズレて来てしまいますし。ですので、やはり最初のお気持ちを忘れずにお探しください。
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