もう昔っからの定番と言えば、プロレスとメタルですよね。力士とちゃんこ鍋、假屋崎省吾と花、八代亜紀と巨乳くらいのド定番ではないでしょうか? 当然レスラーの登場曲もメタルだらけです。
ブルーザー・ブロディ→レッド・ツェッペリン「移民の歌」
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ザ・ロードウォリアーズ→ブラック・サバス「アイアン・マン」
ジョニー・エース→モトリー・クルー「キックスタート・マイ・ハート」
武藤敬司→ヨーロッパ「ファイナル・カウントダウン」 蝶野正洋→ロイヤル・ハント「クラッシュ~戦慄~」
宮戸優光→ガンズ・アンド・ローゼズ「ウェルカム・トゥ・ジャングル」
アジャ・コング→ジューダス・プリースト「ヘリオン~エレクトリック・アイ」
ダイナマイト・関西→プリティ・メイズ「ナイト・デンジャー」
やっぱこんだけ試合前にBURRN!されちゃえば、レスラーもお客さんも燃えるわなー。なんとなく分かります。さて、そんなプロレス&メタル愛に溢れ過ぎちゃって「あーん、もう!どっちかを選ぶなんて絶対ムリっ!ムリ、ゼッタイ。どっちも好きなんだものーッ!」ってな輩たちが極悪非道集団を結成。これがめっちゃ素直なアイデアでして「メタルとプロレス一緒にやりまーす」と。ファンにとってはたまらないごちそう…「あ、ポテトは要りませんー」ってマックで言って、代わりにケンタッキーのチキンを添えるような感じですね。そんなわんぱく集団にインタビューです。
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レスリングをテーマにしているフィラデルフィアのメタルバンド…いや本人たち曰く、ウルトラ・バイオレント・デス・マッチ・ロックンロール・バンド、EAT THE TURNBUCKLEにぜひ御注目。全員巨体。全員たっぷりとタトゥー。オーディエンスはこの男たちの虜になっている。
彼らのライブはプロレスそのもの。大量の血が溢れるECW(Eastern Championship Wrestling)ばりの大殺戮。一枚の板を二つの椅子の間に掛け、そこに画鋲をばらまき、オーディエンスの中からリッチな服装をした子供を掴み上げ、その画鋲ベッドの上をスライディングさせるべく投げる。それがクライマックスだ。
彼らのファンとは?メタルヘッド?ハードコア・キッズ?それともプロレスファン?その答えは「すべて」。ファンたちはジャンプし、スラムダンスをし、リック・フレアーの寸劇に合わせてシャウトしている。そのパフォーマンスは、デスマッチ・レスリングの魅力全部と、メタルロックの魅力全部を併せ持つ。全てが終わると、オーディエンスは血しぶきと、割れた蛍光灯のかけらにまみれたまま、ライブ会場を後にする。今私には分かる。それがパーフェクトなギグの証なのだと。
ツアー中のメンバーに聞いた。エル・シュラック-O(El Shlak-O)、チャブ・ロック(Chubb Rock)、キャプテン・フック(Captain Hook)、 ジャグ-13(Jag-13)、そしてビアー・ダスト(Beer Dust)の5人である。
自己紹介をお願いします。
エル・シュラック-O:俺たちが EAT THE TURNBUCKLE だ。バイオレンスを生業にしている。あとは音楽も。まっ、時々な(笑)
ツアーはどうですか?
エル・シュラック-O:実にイイぜ!だがグラスゴーではキャンセルされちまった。政治家が俺たちの噂を聞きつけて、中止にしやがった。ステージにまで上がったっていうのによ!糞ったれの新聞にも載ってたぜ。だがこのままじゃ済まねぇぜ。ゼッテー戻ってくる。
ジャグ13:皮肉なことにグラスゴーってのはよ、このツアーの中でも最高のプロレス・タウンだったんだ。町には独自のリーグICW(Insane Championship Wrestling)があってな、そこは何千人ものファンを集めてるんだ。

EAT THE TURNBUCKLEはバンドですが、プロレス・ファンも魅了していますね?
ジャグ13:ああ、もちろん。ロックファンとレスリングファンの両方をな。
エル・シュラック-O:俺たちのライブにはプロレスラーも出るからな。ボールズ・マホーニーとか。
キャプテン・フック:GWARバーベキューではネクロ・ブッチャーと同じステージに立った。マジで最高だったぜ。
バンド結成のいきさつについて教えてください。
ジャグ13:俺とシュラックが同じバンドでプレイしてたのが始まりだ。限界ギリギリのプロレスやったり、GG アリンっぽいパフォーマンスとかやりながらな。
エル・シュラック-O:俺たちはフィラデルフィア出身だ。ECWとCZW(Combat Zone Wrestling)がある。つまりウルトラ・バイオレントなレスリングの聖地だ。
キャプテン・フック:どうりで「水が合う」ってわけだ!
エル・シュラック-O:そして、他のバンドの頭のおかしいヤツに片っ端から声をかけて、この極悪非道集団を作ったんだ。
ジャグ13:それにレスラーと蛍光灯を加えてな。俺たちの存在そのものがバンドだ!ってワケだ。

どのように受け入れられて行ったのですか?
ジャグ13:俺たちがやってることは、そんなに目新しいことじゃなかった。だけどな、俺たちは限界ギリギリのレベルでやってるんだ。ヘタしたら死んじまうぜ。これが新しいんだな。まずは客にそれを分からせなくてはならない。ヤツらにとっては未知との遭遇だからな。
エル・シュラック-O:みんな思ってるのさ。「なに馬鹿なことやってんだ」ってな(笑)。実際、真っ二つに割れてるのさ。「このバンドは今まで見た中で最高だ」ってのと「コイツらはノータリンだから大っ嫌いだ」ってな。
みなさんは、元々レスラーなんですか?
エル・シュラック-O:トレーニングを受けてたヤツもいるし、そうじゃないヤツもいる。
チャブ・ロック:俺は日課として肝臓を痛めつけてるけどな!ハッ!!
ステージに怪我はつきものですか?
エル・シュラック-O:当たり前だぜ!!ボールズ・マホーニーがチョークスラムで俺をステージからテーブルに投げ落とした。だが俺は受け身を取れずに鎖骨が割れちまった。ソフトボールみたいに腫れちまったぜ!他にも椎間板ヘルニアになったりな。
キャプテン・フック:俺はアバラを4本折ってるぜ!
ジャグ13:俺なんか両膝がもうグダグダだぜ!!
チャブ・ロック:引っ掻き傷や切り傷なんか数えたらキリがねえわな。ジャグが着ていたジャケットで角膜をやっちまったこともある。
エル・シュラック-O:ステージ衣装までもがウルトラ・バイオレントってことさ!!

キャプテン・フック:もう一人、アイアン・ジョッバーっていうシンガーがいるんだが、ヤツはガラスの破片が喉の中に4日間くらい居座ってたな。医者がヤツの首からでっかいガラスの塊を引き抜いたんだ。「クソ!だからビール飲むたびに痛かったんだ!」ってほざいてたっけ。
ステージで使う凶器は持って行くんですか?それとも行く先々で調達するとか?
ジャグ13:ファンに持ってくるよう指令を出している。その方がヤツらも楽しいだろ。
チャブ・ロック:誰かが持ってきてくれば、俺たちはそれを使う。それがルールだ。
エル・シュラック-O:竹刀を持って来たヤツもいたな。そいつは「コレを血まみれにして下さい」ってな。だからやってやったさ。サイコーだったぜ!

通常使っている凶器は…
エル・シュラック-O:なんでもだよ!
ジャグ13:画鋲、ショベル、有刺鉄線、フォーク、ピザ・ナイフ、チーズおろし器、あと俺の爪。
エル・シュラック-O:画鋲と有刺鉄線を付けた特製蠅叩きもあるぜ。
ジャグ13:マジでなんでも使う。フランスでは有刺鉄線でグルグル巻のパンを貰ったぜ!
みなさんお気に入りのレスラーはどなたですか?( …メンバー全員、真剣に考え込み静寂が続く)
エル・シュラック-O:…………そりゃ難しい質問だな、あんた。

ではプロレスの歴史でお気に入りの時代とかは?
キャプテン・フック:おう!俺はメンフィス・レスリングの時代だな。最高だぜ。あと本物のレスラーじゃないけどアンディ・カウフマンな。あのパフォーマンスが大好きなんだ。クレイジーだし、どんだけ客をキレさせるかのよってね。マジなんだけどマジじゃない。だけどマジなんだなぁ、アイツは。あとテリー・ファンクとカクタス・ジャックの頃だな。
チャブ・ロック:俺はジャパニーズ・プロレス!
エル・シュラック-O:選べねーぜ。どの時代もいい面と悪い面があるのさ。

現在のプロレス・シーンはどうですか?
エル・シュラック-O:そこだよ、そこ!今はゴミ溜まりだ。どれもお上品な糞ったれだ。工場で作られた糞まみれだぜ。
ジャグ13:俺たちはもっと小さなリーグを応援してるからな。
キャプテン・フック:インディペンデント・リーグこそプロレスのあるべき姿だぜ。
エル・シュラック-O:まったくだぜ。WWE(World Wrestling Entertainment)とTNA(Total Nonstop Action)は、本当に糞ったれの糞だらけのゴミだぜ。ECWを見ろよ。あれこそがベストだった。暴力がしっかりと噛み合ったプロレスだった。初期のCCWもな。彼らがウルトラ・バイオレンスを馬鹿馬鹿しいまでのレベルに引き上げたんだ。レスラーは宙にブランブランに吊るされ、リングは割れたガラスで埋め尽くされ、それで芝刈り機まで出て来るんだぜ。で、極めつけは、火を付けちまうんだ!!言いたいのはな、いいか、良く聞け。火の付いたレスラーを嫌いなヤツなんていやしないだろってことさ!!!!
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