東アフリカのクレープ「インジェラ」で夢を追い続ける ソマリア難民女性シェフ

カリフォルニア州オークランドに住んでいるハリモ・アリ・イサクは、ソマリア難民。難民のキャンプ地であったケニア・ダダーブにおいて、初めてレストランを開業。イネ科の植物であるテフの粉を水で溶き、発酵させたクレープのような主食「インジェラ」を難民たちに提供してきた。

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21 mars 2016, 10:20am

深刻な難民問題に世界が悩まされている。特に、ここ数年、中東情勢の悪化による難民増加が著しく、中でも、シリア難民の動向に注目が集まっている。しかし、問題は中東だけではない。中南米、アフリカの難民問題も、中東のそれと同じく深刻だ。

東アフリカにの端に位置し、「アフリカの角」と称されてきたソマリア連邦共和国では、1980年代から内戦が続いている。その結果、1991年以来、ソマリアは、大きく三つに分断され、事実上の無政府状態が続いている。エチオピアからの軍事支援を受けた暫定政府を経て連邦政府が樹立されたものの、国際社会の承認を受けずに「独立国家」を主張する勢力は衰えをみせず、ソマリアを取り巻く東アフリカ情勢は不安定だ。ソマリア沖では海賊行為も多発。日本のタンカーも襲撃されており、外務省によるソマリア全土からの退避勧告が発出中だ。国際社会による警備の強化、「すしざんまい」によるソマリア漁民支援活動の影響もあってか否か、海賊の被害は少なくなっているとはいえ、危険度は、依然として最高の「レベル4」。

カリフォルニア州オークランドに住んでいるハリモ・アリ・イサクは、そのソマリアから逃れてきた難民。渡米前、難民のキャンプ地であったケニア・ダダーブにおいて、初めてレストランを開業。イネ科の植物であるテフの粉を水で溶き、発酵させたクレープのような主食「インジェラ」を難民たちに提供してきた。不安だらけの難民たちにとって、故郷の味は、束の間の喜びであり、いつか訪れるであろう平和な日々への希望でもあった。

渡米直後は右も左もわからず、何もできなかったハリモ・アリ・イサクだが、現在は快適なアメリカのキッチンで腕を揮い、家族に料理をふるまう。難民キャンプのそれとは雲泥の差だ。家族全員での渡米がかない、「今とても幸せ」と彼女は喜びを隠さない。そしていつの日か、ここアメリカでもレストランを開業するのが彼女の夢だ。

「アメリカを離れるつもりはない。いつかソマリアが平和になったら考えるけど」

故郷に帰りたいと願う難民もいれば、そうでない難民もいる。未だかつてないこの国際問題に「答え」が出る日は来るのだろうか。

原題:REFUGEE CHEFS – HALIMO SOMALIAN REFUGEE LIVING IN OAKLAND,CA (2015)

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